旗竿地(はたざおち)は、その名のとおり「旗の部分」と「竿の部分」から構成される独特な形状の土地です。路地状の細い通路を進んだ奥に建築スペースが広がるため、一般的な整形地とは異なる特徴をもっています。今回は、そんな旗竿地の評価方法や相続税・固定資産税の算出ポイントについて解説します。
旗竿地とは
旗竿地 とは、細い通路(竿部分)の先に敷地(旗部分)がある土地のことです。上空から見たときにちょうど旗竿のような形をしていて、専通(せんつう)、袋地(ふくろち)、路地状敷地(ろじじょうしきち)とも呼ばれます。
旗竿地と呼ばれる土地の特徴
明確な法律上の定義はありませんが、一般的には公道と敷地をつなぐ通路の幅が建築基準法の最低限度である2メートル程度か、あるいは基準以上でも幅があまり広くない土地が旗竿地と判断されることが多いです。そのため、公道から奥まった位置にある土地であっても、通路の幅や間口が十分に広ければ、旗竿地とは見なされないことがあります。
旗竿地のメリット・デメリット
通行人や車から室内が見えにくく、静かで落ち着いた住環境を確保しやすいことが大きなメリットです。プライバシーの面だけではなく、防犯面でも一定の優位性があります。さらに、一般的な整形地と比べて、固定資産税や相続税の評価額が1~2割ほど低くなる傾向があることも利点です。
しかし、形状が特殊で利用イメージが湧きにくいため、買主が敬遠しがちで売却しにくいデメリットがあります。周囲をほかの住宅に囲まれることが多く、日当たりの確保が難しい点も注意しなければなりません。
旗竿地の評価方法
旗竿地の評価方法、相続税・固定資産税の算出ポイントについて解説します。通常の土地の評価方法より複雑になるので注意しましょう。
旗竿地の評価方法は大きく3つのステップに分けられる
旗竿地の評価は、通常の土地より複雑です。旗竿地の評価手順は「1.路線価を調べる」「2.差し引き算で評価する」「3.不整形地補正で補正して再度評価する」の3つに分けられます。つまり、旗竿地の査定価格を知りたいときは、まず旗竿地でない土地としての査定額を求め、その後に旗竿地特有の形状補正を加えるという流れになります。さらに、旗竿地は形状に応じて、査定価格に次のような補正率を使って計算します。
・間口狭小補正率
・奥行長大補正率
・不整形地補正率
また、相続時に土地の評価額を算出する方法は複数あります。本記事では相続税路線価を使った評価方法もご紹介します。
路線価の求め方
路線価とは国税庁が毎年公表している、1月1日時点の道路に面する土地の1㎡あたりの価格です。路線価には、相続税を計算するための「相続税路線価」と、固定資産税を計算するための「固定資産税路線価」の2種類があります。相続税路線価の場合は公示価格の約8割、固定資産税路線価は約7割の水準となっています。
そのため、路線価を1.25倍することでおおよその実勢価格を推定できます。たとえば117㎡の土地で路線価が1㎡あたり10万円の場合、評価額は1,170万円、実勢価格はその1.25倍で約1,462万5000円となります。
さらに精度を高めるためには、奥行価格補正率を掛けて評価額を算定します。奥行の狭い土地は利用価値が低いため、路線価×奥行価格補正率により補正した額を採用します。普通住宅地で奥行15mの場合、補正率は1.0となり、評価額は路線価と同じ1,170万円で、実勢価格は約1,462万5000円です。
「間口が狭小な宅地等」と「不整形地」としての評価方法
旗竿地の場合はさらに「間口が狭小な宅地等」と「不整形地」としての評価が必要です。間口が狭い宅地は間口狭小補正率、奥行が長い宅地は奥行長大補正率を用いて計算します。普通住宅地で間口3m・奥行15mの旗竿地なら、間口狭小補正率0.9、奥行長大補正率0.92を掛け、計算式は「1㎡あたりの路線価額×0.9×0.92×117㎡」。
その結果、評価額は968万7600円、実勢価格は約1,210万9500円となります。一方、不整形地として評価する方法もあります。不整形地補正率を求めるためには、まず想定整形地を設定し、その中で余る部分(かげ地割合)を算出します。
上記と同じ117㎡の土地で想定整形地を12m×15m=180㎡とすると、かげ地割合は35%となります。不整形地補正率0.88に間口狭小補正率0.90を掛けて0.79となり、旗竿地の評価額は924万3000円、実勢価格は約1,155万3750円となります。
売却時は、高く評価できる「間口が狭小な宅地等」で算出した方が有利となり、相続税評価では「不整形地」で算出した方が低く抑えられるため有利です。このように、旗竿地は目的に応じて最適な評価方法を選ぶことが重要です。